中村竜治会場構成による銀座「資生堂ギャラリー」特別展

銀座8丁目《東京銀座資生堂ビル》地下の「資生堂ギャラリー」で開催中の特別展を見学。会場構成はが担当。

同展は、2016年に資生堂のシンボル「花椿マーク」が世に出て100年の節目を迎えるにあたっての開催。同ビル、銀座花椿通りを挟んだ「SHISEIDO THE GINZA」、7丁目の《資生堂銀座ビル》でも、「BEAUTY CROSSING GINZA 銀座+ラ・モード+資生堂」と題してさまざまな展示を開催中(同社1月8日発信リリース。1階のウィンドー2面と、本展の会場構成を中村竜治建築設計事務所が担当している。

ギャラリー会場では、銀座の街を彩ってきた、過去100年間それぞれのメークやモードを、当時の商品や広告などの資料と共に紹介。中村氏が立体的にコラージュを施している。注記.場内は一部のポスターを除いて撮影およびSNS掲載可
「展示物は、透明なカバーが必要な大小様々な平面や立体であったため、カバーを展示台としても利用し、それらを積み上げながらその中に展示物を置いて行くという方法をとりました。これにより、平面も立体もいっしょくたにオーバラップしながら、上から下までを関連を持った一つのまとまりとして見ることができる立体的なコラージュとなっています。年代などによってカテゴライズされた9つある山は、ショーウィンドーやビルの連なりとして、銀座を空間的にも感じられるようになっています。」(中村竜治建築設計事務所提供テキスト)
資料の展示以外にも、3人の作家が特別出展。上の画・奥の壁の作品は、写真家の勝又公仁彦氏による「Panning od Days,3 days in 2 monthes,2015」。 会場配布物から引くと、"明治期に描かれた銀座の錦絵と同視点から現在の銀座を撮り下ろし"、"異なる3日間のイメージを一画面に重ねた三連画として構成"したもの。
1924年当時の包装紙(デザイン:資生堂意匠部 矢部 孝)や、資生堂といえば八角形の容器、という着色福原粉白粉七種(七色粉白粉)など、貴重な資料の数々が、アクリル製ケースの中に展示されている。積み重ね(コラージュ)は4個ないし3個。
黄色い地にオレンジの文字、木工用ボンドのようなフォルムの日焼け止め、懐かしい。一気にン十年前の海辺に記憶が飛んだ。
その下の白いバッグは、1964年の東京五輪で制作、化粧品を入れて選手に寄贈したもので、言われてみれば、大工道具入れに似ている。
中村竜治建築設計事務所に確認したところ、アクリルの厚さは、下から順に8mm、6mm、5mm、3mm。"コラージュ・タワー"は会場内に計9つ、ケースは34個あるのだが、同じ"箱"は2つとなく、全て異なるサイズとのこと。
「設営は、平面に展示品を置き、底のついていないアクリルの箱をその上から被せるという作業の繰り返しでした。展示品の設置は資生堂さんのご担当と恊働で進め、展示品の正面の向きが一定にならないように、段ごとに位置を変えています」(同事務所 若木さん談)
アクリルケースと設営の精度も見事だが、iPadを使った画像資料の見せ方、電源コードの処理も、中村竜治氏らしい美しさ。
母親か祖母の古い化粧鏡台あたりに潜んでいそうな化粧品を目にして、デジャブを覚える人は男女を問わず多かろう。展示の三面鏡台は昭和初期のもので、資生堂がオリジナルでつくった店頭ディプレイ用。
会場では、高いビルばかりとなった現在の中央通りとは全く景観を異にする、62年前・昭和28年の街並も、木村荘八著『銀座界隈』の別冊アルバム(1954年発行)で確認できる。資生堂ビルをはじめ、和光、木村屋、教文館、京橋のたもとの交番まで写っていて、1〜8丁目の両側のビルを眺めて行くと楽しい。
上の画では(場内撮影規定により)見切れているが、昔のキャンペーンポスターの展示も。日本流行色協会による"今年の流行色予想"は、60年になって始まった。
ロバート・モンゴメリー作品と、銀座7,8丁目界隈を撮影した勝又氏の写真作品など。
今回の記念イベントでインスパイアしているモンゴメリー「BEAUTY IS EMPHATHY 2015」は、7丁目の《資生堂銀座ビル》にて会期中、展示されている。
床に光の文字が映り込む、モンゴメリー作品とその前の"コラージュ・タワー"は、地上1階から地下のギャラリー会場に降りていく階段アプローチの途上で、眼下に最初に視界に入ってくるので、何だろうかとワクワクする。
資生堂ギャラリーでの展示は1月28日まで(月曜定休)。開廊は平日11-19時、日曜・祝日は11-18時。入場無料。

資生堂ギャラリー
www.shiseidogroup.jp/gallery/



+飲食のメモ。
館内のサロン・ド・カフェ、あるいはレストランで食すべきところなのだが、老舗つながりで、中央通りを渡った右斜め向かいのビル地階にある、長崎料理[銀座 吉宗 銀座本店]にて昼食(1F路面の[銀座カフェーパウリスタ]もかなりの老舗。前述の街並写真で往時の外観を確認し忘れたが)
ランチは単品からセットまでメニューが豊富で、迷う。長崎ちゃんぽんの並盛(消費税込¥980)を食べる気満々で入店したのだが、メニュー表を閉じた時には「茶碗蒸しと細麺皿うどん小」のセット(¥1,550)をオーダー。蒸しずしにも後ろ髪。
9種類の具材が入ったボリューミーな茶碗蒸し、美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

銀座 吉宗(よっそう)公式サイト
www.ginza-yossou.jp/