KINNASAND×長坂常 特別インスタレーション「ZOOM」

南青山にあるクヴァドラ(Kvadrat)のショールームを会場に、同社が取り扱うテキスタイルブランド「キナサン(KINNASAND)」の新作コレクションの披露を兼ねたインスタレーション「Kinnasand New Collection『ZOOM』& Special Installation by Jo Nagasaka」が開催されている。会場デザインは建築家の長坂 常氏スキーマ建築計画 代表)
「キナサン(KINNASAND)」は今から200年以上前にスウェーデン南部の町「KINNA」で創業したテキスタイルブランド。上質な素材と高い技術力によるたカーテンやラグなどを製造、2012年にデンマークのテキスタイルメーカーであるKvadrat社の傘下に。

日本初進出となる、クヴァドラ ショールームが南青山3丁目にオープンしたのは昨年の10月8日、このほど1周年を迎えたばかり。
青山を中心に秋のデザインイベントが多数開催される10月の下旬、ショールームという限られたスペースを会場に、キナサンのクリエイティブディレクターであるイサ・グリンク(Isa Glink)氏による新作「ZOOM(ズーム)」のコレクションを素材とした空間展示を、というのが長坂氏(下の画、メディアの撮影に応じている人物)に課せられた主題。ふだんはいわゆる"B to B"の予約制のショールームで、このような展示を行なうのは今回が初の試み。
上の画・右端に写っているのが、カーテンとラグの新作となる「ZOOM」のコレクションのひとつ。本展はアジアでの初披露でもある。触ってみると、生地はとても柔らく、持ち上げても重さをまるで感じない。この"ふわっふわ"な生地を、長坂氏は会場フロアの上に立ち(建ち)上がらせた。
展示で用いたのはニュートラルな白い生地。光と立体感が綺麗に表現されるものを選んだ。この生地に透明なアクリル製の光ファイバーを菱形に交差させて、"カゴ"のような円筒状の立体に。向こう側の景色や外光、来場者の姿が透けて見える。店内の人工灯に照らされる夜間は、また違った雰囲気になるとのこと。
「柔らかいレースのような今回の素材は、僕のこれまでのテリトリーの外にあるものです。住宅や店舗を設計する場面、カーテンなどはクライアントが選ぶものであり、僕らからは提案することはありませんし」。今回のコラボレーションは、長坂氏にとっても新鮮な体験となったようだ。
「布を使っての展示というと、通常は吊るす、あるいは平置きという二択しかない。それではつまらないし、きわめて柔らかい素材であればこそ、床の上で建たせてみたいと思った」(長坂氏談)
上の写真でも判るように、光ファイバーが外側に拡張しようとする力でもって、微妙なバランスで自立している。裁縫作業は当初、業者に依頼しようと考えていたが、あまりに繊細な生地ということもあって難しく、人海戦術による手縫いで仕上げた。一度ではうまく立ち(建ち)上がらず、気が遠くなるような作業の連続だったという。
「建築の場合、ある程度まで進むと自分の手を離れ、施工会社なり第三者に委ねるタイミングがくる。でも今回のように、文字通り自分たちの手でやれてしまうと、締切のギリギリまでとことん粘ることができる。それは良くもあり、悪くもあるのですが」と長坂氏。「絵を描くのと一緒かな」とは、東京藝大出身者らしい例えだ。
長坂氏といえば、先々週の末から清澄白河で始まった「Vitra x Blue Bottle Coffee」の会場構成も担当。発端となっている、今春のミラノサローネでのVitra社の展示会場をクヴァドラ社の関係者が見ていたことも、今回のコラボレーションのきっかけに。

「建築家とのコラボレーションが多いクヴァドラですが、傘下のキナサンも含めて、日本ではまだまだ知られていない、これから育っていくブランドです。長坂さんのこれまでの作品に対しても、どこか未完成な余白的要素を感じさせる、良い意味で曖昧な、そこに大きな魅力を感じていました。長坂さんとなら、"push the boundary"="限界を押し拡げていく"という、クヴァドラのブランド・アイデンティティも共有できると思いました。今回の作品も、まさしく立ち上がったばかりで、長坂さんもこれで完成だとは思っていないはず。次なる発展を予感させるインスタレーションとなりました」 (kvadrat Japan カントリーディレクター談)
「Kinnasand New Collection『ZOOM』& Special Installation by Jo Nagasaka」は11月3日まで。通常は予約制のショールームだが、イベント期間中に限り、誰でも自由に入店できる。

クヴァドラ ショールーム Tokyo
http://kvadrat.jp/about/showrooms/46/Tokyo




+飲食のメモ。
店舗前の坂道を渋谷方面に向かえば、隈研吾氏が手掛けた《サニーヒルズ》はすぐ。長坂氏が手掛けた《ブルーボトルコーヒー青山》も歩いて10分ほどの距離にある。だが今回は新規開拓、店から3分ほどの裏道にある[グラマシーコーヒー]で休憩。向かい合わせの2人席が3つというこじんまりしたカフェ。

246(青山通り)からのアクセスは、カレーパンの[天馬 青山店]の角から入る。なお、facebookによれば、年中無休ではなく、月に何度か日曜が休みになるようだ。
ホットラテSと、目に入った瞬間、「でかっ」と思ったチョコレートマフィンをいただく(合計消費税込み¥720ナリ)。どちらも好みの濃厚で、美味しゅうございます。マフィンはチョコレートがざっくざく、やはりかなりのボリューム(食べきれずに包んで貰って半分お持ち帰り+バナナマフィン¥280もテイクアウト→翌日も美味しゅうございました)
ごちそうさまでした。

Gramercy Coffee(グラマシーコーヒー)facebook
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