「ウルトラ植物博覧会」@銀座 POLA MUSEUM ANNEX

銀座1丁目のポーラ ミュージアム アネックスにて、3日から始まった「ウルトラ植物博覧会 西畠清順と愉快な植物たち」を観る。

3階での企画展にあわせて、1階のショーウィンドウにも背ぇの高い植物2点が展示されている。
左の画の奥:"オーストラリアに分布する木性シダの仲間。和名「ディクソニア」(以下注記なきものは、会場配布物「植物図鑑」の和名表記に拠り、主なテキストの参照元とする)、手前:3つある和名のひとつが「酔っぱらいの木」。前者は約4億年前に海から上がった、太古の地球の面影を残すという貴重な植物で、後者は和名が示す通りのオッサン体型。
1階のエントランスで既にかなり濃ぃい植物がお目見え。3階にもっとディープな世界が待っている。

出展者である西畠清順氏は、明治元年創業の植物の生産卸問屋"花宇"の五代目。2012年には植物の魅力を広く伝えるために「そら植物園」を立ち上げ、ジャンルや国の内外を問わずに活躍中。2011年にオープンした「代々木VILLAGE by kurkku」の植栽計画を手掛けたことで知られる。
個性的な植物ばかりに目を奪われるが、配布物および会場に掲出されている、西畠氏からの「開催にあたって伝えたい、大事なこと。」もギッシリと濃い。読んで、先ずは無知を自覚し、それからゆっくりと愉悦を味わう。 会場内は撮影可。facebok、ツイッター、LINEでの拡散も可。
会場には大きさも分布地域も科名もそれぞれという植物が並ぶ。計50の展示品は、仮に有料の植物園に行ったとしてもお目にかかれない、この会場だけにしかない貴重な個体を含む。
配布資料「植物図鑑」には、植物のカラー画とともに学名、和名、科名、分布国、エピソードまで掲載され、読みながら回ると魅力がさらに膨らむ。
イエメン、サウジアラビアに分布する「砂漠のバラ」。
幹がごっつい「ユッカ ロストラータ」はメキシコ、アメリカ辺りの植物。植物によっては国が輸出を厳しく制限していたり、逆もあったり。この植物は後者である。
むしりとって実を食べたい衝動を抑えた「ジャボチカバ」。資料に"一度食べたら必ずファンになる"、分布国ブラジルからの"輸送は困難"などと書かれていたらなおさら(代々木ヴィレッジには植わっているらしい)
マダカスカルの固有種で"棘の森"とも呼ばれる「太二つ葉金棒」。学名は「Alluaudia ascendens」。思わず噴き出しそうになる和名と、カタそうな学名の響きの差がまた面白い。
柑橘類の一種「仏手柑(ぶっしゅかん)」。 インド、中国を経て日本に伝わる。
「バオバブ」を盆栽に仕立てたもの。
「ソテツワラビ」は"タイ人プラントハンター"が採取し、タイ政府の厳しい検査を経て、もたらされた。幹肌はゴツいが、葉を見るとシダの仲間でシシガシラ科に属するというのも薄ら納得。
左:螺旋状に生長した「フェロカクタス」、右:「オオトクサ」。後者は日本では爪や工具類の研磨材として使われていた「トクサ」の一種で、展示品は南米産。
タイ原産の「ニセオッパイプランツ」。
けむくじゃらのウサギのような、マダカスカルに分布する植物。本邦初公開とのことで、和名は未だない。
上の画の奥:通番47-51の植物たち。右端の51番は学名も和名も知れず。
手前のテーブルの上が通番ラスト52番の展示植物。「ライオン殺し」の和名にピンとくる人もいるのでは。南アフリカに分布し、動物が足の裏に刺さったこの実を取ろうとして却って口内にトゲが刺さり、やがて死に至らしめた挙げ句、死骸を苗床に発芽・生長するというオソロシイ植物。
「ライオン殺し」の実が3個置かれた、ガラス天板のテーブルがまた見応えがある。植物名は不明だが、本展のために西畠氏が会場に持ち込んだもので、知り合いの作家がつくってくれたものらしい。
会場には、平素見学する住宅オープンハウスなどで名を聞くような種類はさすがに見あたらないものの、もし、これがフツーに庭先に植わっていたら...とつい夢想して楽しくなる。
A.ガウディがモチーフにしたという「チャメプロス フリミス ‘ボルケーノ’」や、テレビでしか見たことのなかった「ウツボカズラ」や、「スリーマハー菩提樹」の子孫木たら貴重個体もある、「ウルトラ植物博覧会」は8月16日まで、会期中無休。開廊は11-20時(入場は30分前まで)。入場無料。

ポーラ ミュージアム アネックス(POLA MUSEUM ANNEX)
www.po-holdings.co.jp/m-annex/




+飲食のメモ。
同館2階にある「ヒガシヤ ギンザ(HAYASHIYA GINZA)」にて休憩。店頭の売店は19時で閉まるが、茶房は定休の月曜を除く平日は22時、土日は19時まで営業している(L.O.は各1時間前)
季節のかき氷「抹茶金時」をいただく。糖分を足してない純粋に抹茶ママで、甘さはセットの練乳と、適量の金時(アズキ)で調整しながら食す。せっかくの作り立て白玉が硬くならないよう、氷の中に埋め込まれていないのも有り難い。そして平たい木の匙の使い勝手がとてもよかった。
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

ヒガシヤ(HAYASHIYA)
www.higashiya.com/