成瀬・猪熊建築設計事務所オープンハウス《スプリットハウス》

成瀬友梨氏と猪熊純氏が代表を務める、成瀬・猪熊建築設計事務所が設計した個人邸《スプリットハウス》のオープンハウス備忘録(見学は昨年10月、事務所側の希望により、本日更新する)
立地は都内の住宅地、122.42平米の旗竿敷地。木造2階建て。
幼稚園と小学校が隣接する西側からの採光はあるものの、三方を住宅に囲まれているため、プライバシーの確保も兼ねて、中間部分を全てハイサイドライトに。その分だけ1階の天井高を上げている。

玄関を入ったところから、1階内部の眺め。
キッチン、ダイニング、リビングとして使われる。天井面までの高さは3.1m。
床はモルタル仕上げ、杉の柱やベイマツの梁は塗装せずにふしも見えたまま。内装は施主側の希望にそったシンプルな仕上げ。
構造は在来工法。軸組の間にブレースが入って「森のような空間」に。他にも構造的なポイントがあり、後述する。構造設計は、今回の物件で初めて恊働した鈴木啓氏(ASA)。
四方のハイサイドライトからの光で、日中の1階は照明要らず。夜間は、梁の上に設置したスポット照明の光を白い天井面にバウンドさせる(上の画は点灯中)
ハイサイドライト部分のガラスはペアガラス。西側と東側の一部はクリア、その他は型ガラスを使用。一部は換気ができるガラリ付き。
1階ダイニング側から、玄関、約3畳の客間、書斎(右端)の眺め。玄関脇にパントリーとトイレがある。客間と書斎をダイニング側と仕切る大きな引き戸は、オープンハウス後に、壁と同じ色/ややグレー混じりの白に塗装される予定。
階段を上がり、上の階へ。
スキップフロアの「2階」を経て、さらに主寝室などがある2.5階へ。
見学時に配布された断面図をみると、2.5階の床下部分は0.49mのスペースがとられている。配管・ダクトスペースを確保するため。
2.5階の廊下は家族の衣類収納スペースを兼ねている。階段を上がりきった位置から、南側の眺め。
右:家族全員(5人)分の衣類を収納する可動棚。
左:コートハンガー、ハンガーパイプが設置される予定。

奥の左側に脱衣室・浴室がある。お子さんの入浴時など、着替えはいつも大わらわで、大量に出る洗濯衣類をまとめて洗えるようにした。
南の突き当たりにある居室から、廊下を挟んで、北側居室の眺め。
廊下の真ん中に、採光と換気を兼ねたソーラーチムニーが設けられている。
2.5階 北側の居室。
南側の居室も収納の有無以外は同じつくり。
隅の杉材は単に意匠的なものかと思ったら、下から上まで通している柱=構造体と教わる。
ハイサイドライトを中間層にぐるりとまわすため、この部分の柱は2本ある。通し柱は内側とし、外側の柱とボルトで固定している。これにより、サッシ部分のおさまりが綺麗にみえる。外側の柱は壁に塗りこめられ、間仕切りがたっていない部分の内側の柱8本が、上と下の画のように"あらわし"となった。
2.5階の居室は西側にまとめられている。こちらの居室は子供部屋となる予定。窓の外には幼稚園・小学校の庭が広がっている。
将来は部屋を仕切って2部屋にできるように、子供部屋の扉(引き戸)は予め2枚設けてある。
洗面・脱衣所。
バスルーム。
2.5階の廊下から、2Fスキップフロアの見下ろし。3.49mある天井高さを活かし、ハンモックを吊る予定。
西側外観。庭先からの眺め。

なお、これまで都内において、集合住宅の1室をリノベーションした《世田谷フラット》などはあったが、新築としてはこちらの《スプリットハウス》が初となる。

成瀬・猪熊建築設計事務所
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