「組む 東京」オープニングパーティ

先月16日に東神田1丁目にオープンした「組む 東京」は、ショップ、ギャラリー、コミュニティ・スペースの機能をもつ複合的な交流の場である。
キュレーターを務める小沼のりこ氏は、東日本橋にあるCSデザインセンターと [MATERIO base.]1階のギャラリー「ヨルカ」のディレクターを長年務め、素材のもつ魅力に迫る企画展や、東京を離れた地方を拠点に活動する作家らを紹介する展示、食に関するイベントも数多く開催してきた。
昨年9月6日に(株)組むを立ち上げ、国内外のものづくり、手工業の交流拠点として、志を同じくするクリエイターらとつくりあげたのが、この「組む 東京」である。
オープンから1ヶ月、内外のゲストを招いてオープニングパーティが開催された。

入口に掲げられた倉敷帆布のフラッグのデザインは、「組む」のアソシエイト・ディレクターを務める大治将典氏によるもの。「ヨルカ」のロゴと似ているが、"組む"かたちへと進化している。

「組む 東京 のこころざし」
「組む」は、その名の通り、国内外の志を同じくする仲間が“組み”ながらつくる場を目指しています。
組むが扱うものは、体の中に取り入れるもの、肌に触れるもの、身にまとうもの、手足の延長にある道具、包まれる空間に設えるものなど、パーソナルな日常の時間をつくるモノ達です。
そこに尽くされた温故知新の知恵や精神文化の豊かさに感銘を受けるたび、当たり前の日々の暮らしを慈しむ心こそ、未来を変えていく鍵になるのではと考えてきました。
組むでは、そのようなスピリットから生まれてきたモノやコトの宝物をみなさまとシェアしていきたいと考えています。

組む東京
キュレーター:小沼のり子
アソシエイト・ディレクター:大治将典(Oji & Design代表)、まつおたくや(フォーデザイン合同会社代表)、木口和也(nMAKE inc.代表/龍文庫ももとせ亭主)

地下室と屋上もある2階建てビルは、小沼氏の祖父が60年ほど前に建てたもので、いわば"原点"の地からの旗揚げ。建設当時はまだ珍しかったコンクリート造のビルは、人の出入りが少ない倉庫として長らく使われてきたために、あちこちで傷みが進んでいたが、1年以上をかけて補修、スケルトンの状態に戻してから、ガスと水道を通し、奥の壁に窓をあけ、ガラスのファサードもセットバックさせて軒下をつくり、人々が交流する場として再生させた。

リノベーション:アトリエエツコ一級建築士事務所
什器:橋本裕(スタジオユタカ)+小沼智靖(KonumaDesignWorks)
照明計画:山下裕子(Y2ライティング)
「組む 東京」のfacebookにbefore/afterの画が掲出されているが、既存の床を取り払ったため、1階の階段下に段差調整用に大谷石を置いた。階段は白く塗り直し、無かった手摺も追加している。
1階はショップとギャラリー。倉敷帆布のバッグ、有田焼の新しい可能性を拡げる JICON(・磁今)による白磁器、無農薬米や、HOME. レーベルのジャムの小瓶まで並ぶ。こだわりの什器については、5月15日付けの「組む 東京」facebook に大治氏による記述がある。
人の手に触れるプロダクツのひとつ、高岡の鋳物メーカー(株)二上による真鍮生活用品ブランド「FUTAGAMI」のトレイや箸置きのほか、建築金物に特化した「MATUREWARE」のスイッチプレートやネームプレートも取り扱い。同ブランドのレバーハンドルは「組む 東京」のトイレや2階にあるオフィスのドアにも使われていた(下の画)

「組む 東京」のオープンに先立つ今年1月、小沼氏らはニューヨークにあるギャラリー[ Nalata Nalata ] で企画展「KUMU – Exhibition of works by Oji Masanori & Friends –」を開催している。今後は国内だけでなく、海外の作家らとも"組み"、この「組む 東京」を場として作品を紹介していく予定。既に1階の天井にはポルトガル製のモービルが風に揺れ、棚にはスエーデンの鉄鋏もある。内外のゲストを温かく迎えるコミュニティスペースとして用意した2階は、この日は華やかなパーティ会場に。フルタヨウコさんによるおもてなし料理の蕗と筍、美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

「組む 東京」
www.kumu-tokyo.jp/
開店時間:12-19時、日月休み(イベント開催によって変動・不定休。サイトまたはFBでの告知を確認のこと)




+飲食のメモ。
組む 東京」の住所は東神田1-13-16だが、最寄り駅はJR馬喰町または都営地下鉄新宿線馬喰横山駅。A1出口を地上に出て、目の前の清澄橋通を右に、馬喰町の交差点を超えてそのまま北西に進む。曲がると「組む 東京」がみえる角地に、BOOK CAFE「イズマイ」がある。
グラデーションのファサードをもつ《パレットビル》は、(株)カラーワークスの東京ショールーム。築50年のビルを吉村靖孝建築設計事務所が2010年にリノベーションしたもの。オープン当初はイタリアンバールだったが、2012年に「イズマイ」となった。近所にあるカフェ兼定食屋「フクモリ」の姉妹店でもある。
ランチタイムにはドリアやカレーもあるが、こちらのウリはミートパイ。温めてサクサクの状態で出してくれる。
スイーツを含む数種類のパイとドリンクをチョイスする「パイセット」が終日オーダーでき、17時以降はアルコールともセット可。

「海老トマトクリームパイ」はカレー風味(消費税込み730円)
おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

イズマイ
http://ismy.jp/

公式facebook
https://www.facebook.com/ismy.bakurocho