「鈴木マサルのテキスタイル 傘とラグとタオルと」@ギャラリー・ル ベイン

西麻布にて「鈴木マサルのテキスタイル  傘とラグとタオルと」が12日から始まった。会場はギャラリー・ル ベイン、アトリウムを挟んだギャラリーMITATE、さらには地下にあるリラインスのショールーム ル・ベインでも展開している。

2005年に立ち上げ、主宰するテキスタイルブランド「OTTAIPNU(オッタイピイヌ)」を中心に、2014年は家具や空間、ファッション、地方の町づくりプロジェクトなど、様々な分野にテキスタイルデザインを提供してきた鈴木マサル氏。代々木上原の「CASE gallery」やスパイラルガーデンを会場に、2012年から連続して傘の新作をこの時期に発表してきたが、4年めとなる今年は、傘に加えてラグ、タオルなども展開。会期中、数量限定で販売も。

ユーモラスな絵柄と時に大胆な色づかいの傘が、吹き抜け空間を鮮やかに埋め尽くす。雨天の外出でも心ウキウキと弾まずにはおれぬ、「雨傘」の概念を超えたデザインだ。
本展の会場構成は、過去の「鈴木マサル傘展」から連続して担当している設計事務所ima。imaの facebook によると、アトリウムに吊られている傘は105本。両端より真ん中のボリュームが少なく、広げた傘を「藤棚のアーチのようなイメージでインスタレーションした」とのこと。
傘たちが層になった見上げも圧巻だが、3方の白い壁に大小・濃淡の傘の影が落ちる夜間も美しい。マナ氏と共にimaの代表を務める小林恭氏に訊いたところ、このライティングもimaが担当し、日没後に現場あわせで調整したとのこと。水盤上に広げられた4本の傘は、吊った紐の先端に白い石ころを入れたペットボトル括り付け、重しとして水の中に沈めて固定している。
この4本は新作で、左から、savannah、butter、mandrill、chameleon。何故に「tiger」でなく「butter」なのか、また「mandrill」となった由来について、鈴木マサル氏のブログ「テキスタイル獣道」に制作エピソードが記述されている(その一部を紹介すると、鈴木氏は絵柄のモチーフとなる動物やいきものを実物や図鑑を見ずに描くのが好きだという)。ブログでは本展の見どころにも触れているので、会場に足を運ぶ前後に読むと数倍楽しめる。
販売している商品のひとつ、雨傘は12,000円+消費税。上の画は「fukurou」(初日夜の時点で残数1。広げた状態は2枚上の画)。殆どの傘は色違いもあり。購入はキャプション下に下げられた番号札を取って、向かいのショップ MITATE のレジへ。
雨傘は大きめで、小ぶりの雨天兼用傘も別にアリ(¥13,000+税)。
日傘に描かれた絵柄はなんと全て刺繍である。上の画、床に置いた白地のものは「poodle」の日傘。下は「kamo」の一部アップ。
日傘を広げて柄を手にすると、刺繍糸の分量だけ重みがある。聞けば、機械縫いでなく、ミシンによる手縫いで、傘のサイズに生地を裁断してから、中国の工場にいる若い女性が刺繍ミシンで縫い上げているとのこと。傘の重みはその丁寧な手仕事の重み。20,000円(+消費税)でも決して高くない。
会場には、鈴木マサル氏がテキスタイル部分を手掛けた、アルフレックスとコラボしたチェアも。昨秋のSPECIAL EXHIBITION 2014「MARENCO×鈴木マサル」の関連として発表された、座が張り替えられる「RINN chair」(チェア本体のデザインは藤森泰司氏)。上の画には写っていないが、3月に発表された BANG & OLUFSEN「BeoPlay A9」のスピーカーカバーもこの脇に並び、本展のために用意されたBGMを流している(音響設計/作曲:髙橋琢哉)
ギャラリーMITATEでは主にラグとタオルの展示。床に敷かれた青いデザインラグ「morinonaka」は140cm角のサイズ。
アルテックの名作家具「スツール60」にあわせたチェアパットも、新作のひとつとして登場(¥6,000+税)。candyhebi、salmon、bananamaniaなど5種類。
35cm角のハンカチタオルは¥600+税とお手頃価格。柄はowl、peacock、leopard、aiai、zebraの5種類。
リラインスのショールームに降りる階段の踊り場にも展示あり。壁に掛かったブランケットバスは80×130cmとやや大きめのサイズ(¥4,500+税)。下の棚は35×80cmのフェイスタオル(¥1,200+税)
傘やラグを見た後だと、グレーで地味に感じるかもしれないが、鈴木さんのブログ「テキスタイル獣道」に、染めと織りにこだわって、色よりは質感を重視してつくられた「タオルシリーズ」のひとつであるとの説明が載っている。
そのタオル生地でつくったバスマットは、ショールーム ル・ベインの水まわり空間に今回、配されている。上の画、コットン100%のバスマット「ishidatami」(50×68cm)
竹を模したバスマット「chikurin」は木のバスルーム空間とピッタリ。

なお、本展で鈴木マサル作品を購入すると、特製シールで袋に封をして渡してくれる。4×6=24種類、どれが貼られるかはお楽しみ。
「鈴木マサルのテキスタイル 傘とラグとタオルと」の会期は5月24日まで(18日[月]は休館)。オープンは11-19時、入場無料。




+飲食メモ。
初日12日の夜に開催されたオープニング・パーティでは、昨年12月にビル1階にオープンした「櫻井焙茶研究所」が和菓子とドリンクを提供。 鈴木氏のテキスタイルがクロスになって彩りを添える。
杏やらシソやら、どれも上品で美味(「HIGASHIYA」さんのひとくち菓子とのこと)
冷たい煎茶も美味しゅうございました。ごちそうさまでした。



初日は5月だというのに台風接近中。19時過ぎに雨粒が大きくなり、アトリウムの吹き抜け天井の端から吹き込んだ雨風がリアルな演出効果をあげたと後で聞いたが、その前に会場を辞し、坂を下って広尾方面へ。数分で着く「丸山珈琲西麻布店」にて休憩。

メニューに載っていた写真で見た印象より大きい「3種のサンドイッチ」(¥596)。トーストセットやクイーニーアマンなど、パンは麻布十番にある「pointage(ポワンタージュ)」のもの。
油分が多く抽出されるのでおそらく好みが分かれるフレンチプレス式コーヒー(¥596)がこの店のメイン。2杯分の容器でサーブされる。
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

丸山珈琲
www.maruyamacoffee.com/