中村竜治ディスプレイ「円を折る」と「necklaces」@銀座

銀座の2つのショップのウィンドーで展示中の、中村竜治建築設計事務所が手掛けたディスプレイ作品を見に行く。
先ずは4丁目の ISSEY MIYAKE フラッグシップショップ [ELTTOB TEP ISSEY MIYAKE(エルトブテップ イッセイ ミヤケ)]、続いて8丁目の《銀座資生堂ビル》をハシゴする。

[ELTTOB TEP ISSEY MIYAKE]での作品発表は、昨秋の「一枚のダンボール」以来、2度め。「円を折る」と題して、三宅一生と REALITY LAB(リアリティ・ラボ)による 132 5. ISSEY MIYAKE が今月発表した新作【CIRCULAR】に着想を得たオブジェが2点、展示されている。
前回の「一枚のダンボールcorrugated cardboard house」のモチーフになった服は、直角三角形のパターンを折り畳んでいくと6角形なる3Dコレクション【GRID WOOL】だった。今回は折り畳むと「円」になる服。カタログによれば、「同じサイズの円形を数枚裁断し、規則的に数カ所縫い止めるだけで服となり、エレガントな世界観を表現」した作品とのこと。
店内でショップスタッフに訊いたところ、2つのオブジェ作品は店頭で組み立てたわけではなく、このママの状態で搬入されてきたそうだ。非常に軽く、試しに触れてもらうと、ゆりかごのように静かに揺れ、支点でゆっくりと停止した。
以下は、店頭に表示されている、作者のテキストの全文。

132 5. ISSEY MIYAKEの服"CIRCULAR"は、たたまれているときは"円"。
着ると、その構造により"弧"が幾重にも現れ、柔らかなシルエットが生まれる。
CIRCULARは、"円"という単純な形が、
無限の形に展開していく楽しさを私たちに与えてくれる服である。

その服からインスピレーションを得て生まれたこのオブジェは
服の大きさを6倍にした"円"を折り、
その折り方によってさまざまな"弧"の連なった立体ができあがる。
"円"という単純なひとつの形から、思いがけない形が生まれる瞬間の楽しさは
この服を着て鏡の前に立つ瞬間とまさに同じである。

後日に中村竜治氏に素材と加工を教わったところ、「アルミ角パイプを曲げ加工した後、何カ所かで溶接しています」とのこと。店頭ではそんな跡なぞついぞわからぬ見事な出来映え。緊張感とエレガントさの中間で停止している。
パネル上のテキストのアウトラインも弧を描く。
銀座旗艦店でのウィンドー展示は4月1日まで。ショップの営業時間は11-20時。

なお、店頭に置かれていたチラシによると、4月4日に丸の内2丁目《郵船ビル》の路面に[ISSEY MIYAKE MARUNOUCHI]がオープンする。「赤を基調としたスペースデザインは吉岡徳仁氏」とのこと。




中央通りを新橋方面へ。8丁目にある《銀座資生堂ビル》のウィンドーで展示中の中村竜治作品を見る。中央通り側(下の画、左側)と北側の花椿通り側(下の画、右側ガラスドアの向こう)にそれぞれ1点ずつあり、夕刻と夜と時間差で見たが、陽が落ちた夜の方が、白い輝きと美しさを増す。
《銀座資生堂ビル》ウィンドーでの作品発表は3回め。2013年末から昨年2月にかけて「camellia」と、その前年にも「red whale」を披露(回を重ねるごとに展示期間が1ヶ月延びている)。今回の「necklaces」も既に昨年末から始まっており、展示期間は3月いっぱいと思われる。
中央通り側の「necklaces」の夜間、資生堂パーラー 銀座本店ショップ店内からの眺め。
ウィンドー上方に設けられた格子から、吊り下げられた白い"線"。高さ約5mの空間の中で幾重にも重なり、昼に見ても美しい姿を浮かび上がらせる。
上の画が夜間(閉店間近の頃)、下の画が昼間。
白い"線"の正体は、とても小さな白いガラスビーズ。[architecturephoto.net]掲載情報によれば、直径は僅か1.5mm(私のカメラでは接写はムリでした)。ビーズを通している糸は「展示中に重さで伸びないようにステンレス線です」と後日、中村氏に教わる。
同じく中央通り側の作品内観。同館4、5Fにある資生堂パーラーのレストランや、3Fのサロン・ド・カフェに通じるEVの前当りからの眺め。
こちらの「necklaces」は店の内側が膨らんでいるタイプ。この対称形、店の外側に膨らみをもたせた「necklaces」もあり、花椿通り側に展示されている(下の画)
上の画は夜間、下の画は昼間、共に店内からの見上げ。
花椿通りを挟んで建つ、芦原太郎建築設計事務所が手掛けたビル《FUKUHARA GINZA》が、中村作品「necklaces」越しに見える昼間。
花椿通りの「necklaces」外観(夕方17:30頃)

4丁目と8丁目の両作品とも、眼福でした。

中村竜治建築設計事務所
www.ryujinakamura.com/




+飲食のメモ。
春を告げる「こだわりの苺フェア」を開催する資生堂パーラー「サロン・ド・カフェ」のL.O.は20時半と早いが、1Fのショップは21時まで営業している。
夕方の時点で幾つかの商品が売り切れていたり、在庫切れもある。海外からの観光客も多い。定番の「チーズケーキ」はこの時期、さくら味も出るが、オールシーズン出ている方をテイクアウト。3個入りSSで税込み864円ナリ。
"SHISEIDO PARLOUR"の白いリボンを解き、青い箱を開けるプロセスだけで気分はもうすっかり上々。「花椿ビスケット」の缶も食べ終わっても棄てられない魅力がある。8角形の商品カウンターに並ぶ商品のパッケージを眺めているだけでも実に楽しい。
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

資生堂パーラー
http://parlour.shiseido.co.jp/