設計事務所バリカン《商店街に建つ家》オープンハウス見学

中川純一氏が代表を務める設計事務所バリカン(Bariquant.)のオープンハウスを見学。
JR高円寺駅から南にのびる商店街沿い、敷地面積14.27坪(47.16平米)に建つ住宅作品。

1年ほど前、建設予定地の前を通りかかった際の写真がこちら。
東西に細長い敷地に立てられた工事看板に「地上3階建て、鉄骨造」とあり、三方を囲まれ、かつ前面が高円寺ルック商店街では、工事は難儀であろうと思っていた。小型重機を持ち込み、敷地の奥から順に建て込んでいく工事の様子が、事務所サイトに「現場レポート」としてアップされている。予定より遅れて着工したが、工程は滞りなく竣工、1月31日にお披露目を迎えた。
上記立地条件から、外壁は足場を組まずに内側から施工できるALC(軽量気泡コンクリート)を採用。同時に、内部空間をギリギリまで広く確保した。

1Fはテナントで美容院が入ることが決まっており、スケルトンでの引き渡し。店舗の右脇、小さな庇の付いたドアが住宅の玄関。棚の上に置かれた帳面に記名し、階段で2階へ。
階段の上から、1F玄関の見下ろし。見学者多数。
1Fリビング+ダイニング+キッチン。「広いリビングを」というのがお施主からの第一希望であり、天井高を3mとっている。床材は杉板。
総ステンレスキッチン。厨房機器はガス3台。
木製内開きドアの背面、カーテンで仕切られた収納スペース。
リビングの奥、東面テラスとの接続部分。段差をつけ、縁側のようになっている。外のデッキと貼りはズラしているが、色は連続した赤みを帯びた材はアマゾンジャラとのこと。
道往く人と商店街の賑わいを見下ろせるこちらのテラスは夏場、高円寺の代名詞的イベント「高円寺阿波おどり」の特等席になる。踊る阿呆と見る阿呆でギュウギュウの人いきれ(NPO法人東京高円寺阿波おどり振興協会発表 2013年度実績:参加連のべ156、観客動員数95万)、トイレはもちろん屋台に行くのもままならないのだが、それら大混雑と無縁とは羨ましい。聞けば、お施主は地元出身とのこと。
階段で3Fへ。上の画・右端に見切れているのはトイレのドア(ラワン材、フラッシュ)。建具は全てラワン材とのこと。
階段の途中、小窓を通してLDKの照明が見える。借景的な造作かと思ったら、3mある2Fの天井にこもってしまう夏場の熱気逃がしが主目的。小窓から階段を通って3Fに熱が上がり、後述テラスから抜けていく、という設計。
階段からの見下ろし、トイレは2Fテラスの脇に位置。
3Fに到着。東(上の画、奥)と西側の両端に、寝室がひとつずつ用意されている。
東側の寝室。窓からは西新宿に聳える都庁の先端が見えた。住宅密集地だが、周辺家屋や商店街からの視線が交わらないよう、開口を配置したとのこと。
上の画の右、北側の壁一面は棚を設けた収納スペース。
3Fはフロアの真ん中にテラスがあり、洗面+浴室空間とはウッドデッキを介して繋がっている。
主寝室からの見上げ。出入口の上には庇を設け、ランドリーパイプはテラスに2本、東側の寝室にも室内干し用に1本設置されている。
西側の寝室。
洗面室と浴室。
切り取られた冬の青空。足下に目を移すと、内覧会前日に降った雪がジャラ材の上に残っていた。ということは、雪が降ったら此処で雪だるまが作れるらしい。小さいながらもこのテラスは贅沢だ。

「商店街と生活をどのように結びつけ、両者を積極的かつ豊かなものにできるか。 商店街と家という相反する性格同士がどのように自由度を確保できるか。 そんなことに素直に向き合ってできた家です。」ーー設計事務所バリカン 内覧会案内より。




飲食のメモ。
高円寺は飲食店多数。ルック商店街にあるコーヒー豆専門店「coffee amp.」へ。自家培養によるスペシャリティコーヒーが店頭でもいただける。
暖かくなれば軒先のテラス席もいいが、冬場は店内であったまるに限る。奥に長い店内に、カウンター席が用意されている。
本日のコーヒーは一杯380円(消費税込)。上の画はカフェラテ(同400円)。カップが大きく、ごくごく飲める。夏場はアイスコーヒーもおススメ。
美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

coffee amp.
www.coffee-amp.com/