ムサビ空デによる「いろは展」@DESIGN HUB

東京ミッドタウン・タワー5Fにあるデザイン・ハブにて、第49回企画展「いろは展」が開催されている。
セノグラフィー(舞台美術)、インテリア、環境計画/空間演出、ファッションという4つのデザイン領域からなる武蔵野美術大学空間演出デザイン学科の10名の専任教員が主な出展者。自身の作品やゼミでの研究成果などを通して、かたちをもたないそれぞれの「いろは」について開示し、来場者とともに考える、という展覧会。会期中は関連トークイベントも開催される。


総合ディレクション:津村耕佑
会場構成:五十嵐久枝
アートディレクション:鈴木康広
ビジュアルデザイン:岡崎智弘
編集:上條桂子


会場に隣接する、武蔵野美術大学「デザイン・ラウンジ(D LOUNGE)」公式サイトの裏話ブログ「美大ラウンジ(裏)」に拠れば、1985年に現名称に改称するより前、それまでの芸能デザイン専攻から「芸能デザイン学科」になったのが1974年のことで、今年は学科の40周年にあたるとのこと。
小池信節(舞台美術家・アートディレクター)×シェイクスピア:「始まりのマシン・・・The First Machine Of Human Drama」
英国ロイヤル・シェイクスピア劇団/RSC「リア王」のための機械・装置。

鈴木康広(アーティスト):「記憶のめくり方」
 「空気の人」「パラパラハウス」「キャベツの器」「銀閣寺のチョコレート」「ファスナーの船」「まばたきの葉」など、これまでの作品が整然と並んだショウケース。大学時代のノートもあり。鈴木氏による作品解説もガラスに白い文字で書き込まれている。

片山正通(インテリアデザイナー) ×相澤陽介(ファッションデザイナー):ショップができるまでの「いろは」
ゼミが通年で取り組んでいる"リアルシュミレーション"のひとつ、南青山のファッションブティック/物販施設を設計する課題のドキュメント。
架空の店舗の1/20模型。
疑似クライアントはアパレルブランド「White Mountaineering(ホワイトマウンテニアリング)」を立ち上げた相澤陽介氏。12月13日には15時から片山氏との対談も行なわれる(要事前申込)

太田雅公(舞台衣装家)×空間演出デザイン学科太田ゼミナール学生:「衣の形」
型染めで使われる型紙と、衣服を作るための型紙を組み合わせた展示。繊細で美しい。

奥:天野勝(ファッションデザイナー)×小西悟士:「100人の”い、ろ、は”着」
手前:津村耕佑(ファッションデザイナー)×武蔵野美術大学学生有志:「着替えエクササイズ」
津村作品のブースは空っぽではなく、「体を曲げ、片足を上げ、腕を上げ・・・」といった一連の着替え動作をエアで、という展示意図か。模範例はブース脇のPC画面を参考に(youtubeにて動画「着替えエクササイズ」公開中、音声有)

小泉誠(家具デザイナー)×大工さん:「大工の手」展示協力:わざわ座、相羽建設(株)
手仕事集団「わざわ座」のプロジェクト第一弾として、小泉氏がデザインを手掛け、今春に南青山ライトボックススタジオで披露会と作品展示が行なわれた「大工の手」シリーズの家具類が"ひとつ屋根"の下に。
家具制作の際に出る端材や住宅の古材などを再利用したもの。例えば、丸テーブルの脚は、かつてどこかの家を支えていた柱の角材。

パトリック・ライアン(ファッションデザイナー)×鈴木親(写真家):「YAB-YUMの20年 永遠的パラドックスの完全円」

手前:堀尾幸男(舞台美術家・小道具制作)×空間演出デザイン学科堀尾ゼミナール学生:「いろは饅頭」
奥:五十嵐久枝(インテリアデザイナー):「多角形の展開」
「多角形の展開」はグレーのダンボール(グレーダン)で構成されたミニシェルター。片方のシェルターの下から、内部を覗けるようになっている。
もう片方のシェルター内部では、作品のメイキング映像をループ投影中。

フライヤーに書かれた本展のタイトル「いろは」は反転文字、かつ透かした印刷で、会場のバナーも同様のデザインになっている。
いろは展」会期は12月25日まで。会期中無休、開館時間は11-19時、入場無料。
会場までのアプローチには、出展者のプロフィールやメッセージなどが、10名それぞれの仕様で展示されている。上の画は鈴木康広氏のパネル。




+飲食のメモ。
DESIGN HUB があるタワー棟を3Fでおり、連絡口から隣の棟のガレリアへ。サントリー美術館SHOP×CAFE(ショップバイカフェ)は、企画展入場料なしでも利用できる。カフェは金沢の老舗「加賀麩 不室屋」によるプロデュース。企画展開催期間は連動した限定メニューもあり。
メニューは和食が中心。ホットの「抹茶ラテ」(消費税込み724円)をオーダーしたら、お茶請けに「おやつ麩」が付いてきた。焼き麩のラスク、軽くておいしい。売店で3袋入り(681円)を買って帰る。
ごちそうさまでした。美味しゅうございました。

サントリー美術館内 SHOP×CAFE
www.suntory.co.jp/sma/shopxcafe/