「スワリの森」@ Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2014

東京ミッドタウン・ガーデンにて、恒例のデザインイベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2014」が本日17日から始まった。「デザインを五感で楽しむ」を毎回のコンセプトに掲げ、今年のテーマは「デザインのスイッチ」。
広い芝生広場には「スワリの森」が出現。科学とデザインが融合したちょっと不思議なイスたちそれぞれのコンセプトが面白かった。小学生の理科の授業や、児童向け「かがく」雑誌の付録などを思い出し、童心に還れます。
ゲストクリエイターは、鈴木康広、鈴木啓太、magma、関口光太郎、大西麻貴+百田有希/o+hの5組7名。科学監修は、NHK Eテレ「大科学実験」やフジTVのドラマ「ガリレオ」の実験監修などを手掛けるガリレオ工房、ディレクションをクリエイティブディレクターの古屋遥氏が務める。
デザイン×科学=イス? とハテナマークがつくかもしれない。12の"イス"にはそれぞれいろいろな科学的仕掛けが施されており、現地で座ってみないとわからない=体感できない。初日に行なわれたプレス内覧会参加者には、各作品の制作資料が配布されたが、先入観なしの方が面白いイスもあれば、知らないままだと楽しさが半減してしまうイスも。知ってから行くか、行ってから知るか、いや、先ずは座ってみてから考えよう。

子どもたちが盛んにダイブして遊んでいたこちらのイス。「水滴のイス」の作品タイトルママだと思って終わるなかれ。
一番小さな水滴は人間の身体に含まれる水分量を、大きな水滴はホッキョクグマの水分量を表していると聞けば、ガラリと見方が変わるだろう。その中間サイズの水滴は、人が一生のうちに流す涙の量なんだとか。デザイン・制作は、プロダクトデザイナーの鈴木啓太氏(東京ミッドタウン主催:2008年度デザインコンペで審査員特別賞を受賞した「富士山グラス」の作者)
イスとしての強度を保ちつつ、水滴っぽいカタチにするのが難儀だったらしい。

芝生広場の真ん中に置かれた「みんなの切り株イス」デザイン:古谷遥、制作:NHKアート(以降、注記なき作品のデザインと制作は、古谷遥+NHKアートによる。作家名敬称略)

水滴のイス
世界最大の体積に生長するジャイアントセコイアの樹齢200年の切り株を再現したもの。デカい。素材は木とポリウレタン。野外展示なので、どの作品も雨天に備えた素材が使われている。

このイスは作品名を事前に知っておいた方がいいかも。人の身体と"会話"する「座ってあたためるイス」。
ジャイアントセコイアのイス
オレンジ色の座に、温度によって変化する塗料で絵が描かれている。暫くじーっと座って、○○○を孵してみよう。
その向こうに見える、サイや切り株のカタチをしたイスの素材は全て紙=新聞紙と段ボール。1枚ではピラピラの紙も、扱い方次第で驚きの強度が出る、というコンセプト。 デザイン・制作はアーティストの関口光太郎。

逆に、このイスはタイトルも何も知らないで座った方が断然、楽しめる。
硬そうなのにやわらかいイス
この「硬そうなのにやわらかいイス」に座った瞬間、驚くこと、うけあい。

総合監修者の古屋氏に会場で話を聞いた。「物理、科学バケ学で、どのようなデザインが可能なのか、協力を仰いだガリレオ工房/担当:滝口洋ニ・稲田大祐/相模女子大・RUM)に、先ずは科学バケ学に関するキーワードや現象が並んだ"科学リスト"を出してもらった。例えば、レンズを除くと像が反転するとか、小学生の頃に習ったようなことを。それらを元に、教科書とは違う目線でもう一度、DESIGNの力を借りてSCIENCEを捉え直してみたのが、今回生まれたイスたちです」とのこと。

デザイン・制作:magmaによる作品「音が見えるイス 1,2,3 magma」。
音が見えるイス
散歩中のワンちゃんを飼い主が座らせて記念撮影していたが、犬にも聞こえたのだろうか、さて。
画面右奥:屋根付きの「自分のからだを持ち上げるイス」は、物理>重力の応用。子ども連れの来場者に大人気。

左奥:”巨大な耳”は、"ジャイアントセコイアの巨大ベンチ"を挟んで、2つが対になるように置かれている。「ヒミツをうちあけたくなるイス 1・2」の利用推奨人数は、2名に限らないかも。

下のイスは2名での利用を推奨しておく。「ハートバランス!イス」は、一見してクチビルのかたちにも見えたが。
ハート型のイス
男女で座った場合、押されるのは物理のスイッチだけだろうか、はてさて。

デザイン・制作:大西麻貴+百田有希/o+h による「視点を変えるイス」。ということは、見た目の"ジャングルジム"ではないようだ。
o+h
プレスリリースなどで発表された事前のイメージビジュアルでは、本体の色は素材である建築用紙管パイプのママ=茶色だったが、現場で実際に組み上げた後、白く塗装することに(o+h謹製)。
o+h
1本のパイプの端に、レンズが嵌っていることに気付けば、これが望遠鏡であることがわかる。接眼部から覗いた先に見えるのは、超有名ランドマーク(なのだが、あまりに一部分すぎて、いったん覗くのを止めて裸眼で遠望したのは私だけではあるまい)
o+h
一昨年、去年の「DESIGN TOUCH」の参加型ガーデン展示を見た際も感じたことだが、子どもはやはり順応力が高い。雑念がないというか、"面白いモノ"が直感でわかり、わかったら即・ダイレクトに行動に移り、最短距離で"楽しい"の頂点に到達する。スゴい、尊敬する。

11-12時の時間帯は(2012,2013もそうだったが)近所の幼稚園?のお散歩タイムらしく、大人であるカメラマンにウレシイ画が各所で撮れる。但し、あいにくミッドタウンのタワー棟の大きな陰に入ってしまうのがタマにキズ。
まさか今回、その「影」を利用したイスまで考えられているとは。
日時計
芝生広場を横切る影が午後1時を知らせてくれる、その名の通り「時を告げるイス」。12:45から13:15の晴天下に居合わせた人にしか「時計」の針はみえない。

デザイン・制作:鈴木康広氏のポリエチレン製をステンレス鋼材で支えた「日本列島のベンチ」。主催側が予想していなかった遊び方=北海道オホーツク海沿岸から上陸して鹿児島まで、ハイハイでの列島横断を何度も繰り返されていたこちらの作品、資料を読むと奥が深い。
o+h
ベンチは若干だがゆるやかにカーブしている=地球が丸いこと、この惑星の大きさまで想像が広がってゆく。設置の向きは実際の日本列島の方角と同じ。
小さいのでさすがに座れないが、沖縄本島も南端にあり。こんなに離れているのですね。
なお、芝生広場の脇には、「六本木未来会議」主催による青空ライブラリー「森の学校の図書館」が会期中に限りオープン(雨天時は会場を移動して実施予定、関連イベントは一部中止)

芝生広場での「スワリの森」のオープンは10-18時(今回は夜間ライトアップなし)、入場無料。雨天は閉場。
このほかにも今年で7回めとなる「Tokyo Midtown Award」受賞作品の展示(会場:プラザB1F、11月9日まで)や、(株)エヌ・シー・エヌ主催による「MAKE HOUSE 木造住宅の新しい原型展(会場:コートヤード、10月26日まで)など、館内展示多数。26日(日)には事前登録制のカンファレンスも開催される。詳細は公式サイトで確認を。

「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2014」
www.tokyo-midtown.com/jp/designtouch/2014/




ガレリアB1Fのアトリウムでは「Salone in Roppongi」と題して、吉岡徳仁氏によるインスタレーション「SPARKLE LOUNGE」を展示中(会期:10月26日まで)

その会場に面して、アメリカンダイナー「Baker Bounce(ベーカーバウンス)」はある(追記.2015年12月閉店)。セットメニューがあるランチ時(11:00-14:00L.O)は大盛況だったので、やむなく時間を外して再訪。
グランドメニューより、本日のスープ「マッシュルームのチャウダースープ」(¥380)+「ダイナーバーガー」(¥980)。どちらもボリューミー。
ガツンと肉、美味しゅうございました。ごちそうさまでした。

Baker Bounce(ベーカーバウンス)
http://bakerbounce.com