中村竜治「一枚のダンボール」@ 銀座|ELTTOB TEP ISSEY MIYAKE

銀座4丁目にあるISSEY MIYAKEのフラッグシップショップ「ELTTOB TEP ISSEY MIYAKE(エルトブテップ イッセイ ミヤケ)」にて、中村竜治氏による不思議な立体作品が、秋の新商品と共に展示されている (10月31日まで)
ELTTOB TEP」はイッセイミヤケが展開する各ブランドを集約した旗艦店。ブランドのひとつ「132 5. ISSEY MIYAKE」から、秋の新作として今月2日に発売された「GLID WOOL」に関連して中村氏が制作したのが、今回の「一枚のダンボール」だ。


アパレルやジェエリーブランドのショップと建築家がコラボした場合、何気なくを装って入店し、商品を見ていてふと気付いたフリをする、といった姑息な小芝居をしたこともあったが、初動と挙動から店側は"お見通し"なので、最初から「すみません、実は中村さんの作品を見に来ました」と正直に申告した方がスムーズだと思う。店側も寛大に対応、手隙の合間にこちらの疑問に応じてくれることも。あくまでアパレルの物販店なので、ケースバイケースだが、今回は幸いにも洋服のアップを除いて中村作品に限った撮影と、画像のブログ掲出許可を得ることができた。多謝。
中村竜治作品「一枚のダンボール」を見る前に、インスピレーションの発端となった衣服、132 5. ISSEY MIYAKEの「GLID WOOL」がどんなものか、商品リーフレットの画を参考までに(ショップ内での洋服の撮影はNG)
平面ではまるで高度な折り紙のよう。身にまとうとガラリとイメージが変わる。
店頭で、美しく折り畳まれた「GRID WOOL」を広げてみせてもらったが、思わず「え、え? えー!」と発してしまった。かの"ミウラ折り"を見た時のような驚き(と同時に、後でこれを店員さんに折り畳ませてしまうことに対し、内心でのみお詫びしたブキッチョな私)
生地は化学繊維混合(ペットボトルなどを再生したポリエステル繊維。故にドライクリーニングは不可である)。そういえば、「ELTTOB TEP」の名前の由来は"ペットボトル"の逆さ読みと聞いたことが。
ショップ正面入口、中村竜治作品「一枚のダンボール」と正対。
店内に入り、同作品の背面。
真横から見たところ。 いや待て、この作品、はたしてどの向きが"正面"なのか?

さておき、この作品はその名の通り「一枚のダンボール」で出来ている。大元の「GLID WOOL」の仕様説明も兼ねて、展示に添えられたテキストを以下に全文引用し、作品コンセプトをお伝えしたい。

一枚の段ボール

直角三角形のパターンから構成され、六角形に折り畳むことができる132 5. ISSEY MIYAKEの「GRID WOOL」。
着ることで、身体の曲線と服の構造線が出会い、予想外の新たなシルエットが生まれる。

平面から立体への変化。三角形から生まれる思いがけない形。
その魅力を伝えるため、この作品は、実際の服に使われたパターンを5.5倍に大きくし、自由に形が変えられるように制作されている。不安定な構造だが、ある形になるとバランスを保ち、自立する。
自立する形を探すのはとても発見的な体験であるが、この服を着る瞬間もきっと同じなのだろう。
小さな折り紙から出発し、服となり、より大きな空間への可能性を私たちに思わせてくれる。

中村竜治/建築家

上の画像の反対側、向かって左側の"横"から見た場合。
さらに背面に回り込んだ位置から、立体の左斜め後方からの眺め。
画面左奥に見えているのは、もう1つの「一枚のダンボール」作品。
店の外から、銀座ガス灯通りに面したディスプレイ。
同作品の背面、店内から見る。

それにしても、接合部の仕上げはいったいどうなっているのか。中村竜治設計事務所に確認したところ、「ダンボールの接合部分はライナー(波を挟んでいる表面材)を帯上にカットしたものを、ダンボール用ボンドで接着しています」との回答。
中村竜治氏による「一枚のダンボール」のディスプレイは、今月31日までの予定。銀座のほか、大阪の船場旗艦店でも展開中。

銀座および、2007年にオープンした大阪・船場の「ELTTOB TEP ISSEY MIYAKE」の空間デザインを手掛けたのは、佐藤卓氏(佐藤卓デザイン事務所)。銀座旗艦店のオープニングの際は、スペシャルトークにも出席している(参照元:同店News:2011.3.11)。

2011年3月のオープン以来、ハイ・センスなディスプレイを展開している「ELTTOB TEP ISSEY MIYAKE(もう3年前になるが、山本陽一建築事務所の「2D/3D Chairs」なども面白かった)。銀座に出たら、此処と和光とメゾンエルメスのウィンドーを見てから、優雅な気分に浸って帰路に就きたいもの。




+飲食のメモ。
銀座界隈での物販ではないが、ダンボールつながりということで。
南青山の微熱山丘こと「SunnyHills」のパイナップルケーキ(5個入りで消費税込1,500円)。とってもおいしゅうございます。