「新宿クリエイターズ・フェスタ2014」

8月22日から始まっているアートイベント「新宿クリエイターズ・フェスタ2014」のうち、西新宿で展開中のアーティスト展を中心に、数日かけて見てまわる。
アーティスト展(ART MAP表示A-7)> エマニュエル・ムホー「100 colors / Shinjuku Central Park」@新宿中央公園 水の広場


広場の両側の樹木から15本のワイヤーを渡し、長さ2mほどの細長い布を吊り下げたインスタレーション。8月28日にオープンする予定が、前日からの雨が続いて設営できず、1週間遅れてお目見え。

昨年の「新宿クリエイターズ・フェスタ2013」では屋内展示で、六判の紙を使って「100色」を表現したが(下の画像)、今回の作品の素材は布。横にわたしたワイヤー1列に100色を配置した。

参考:昨年の出展作品「100色(100 colors)」@新宿三井ビル 55スクエア

配置は1列に100色=100本あるのではなく、白だけが多く吊られている(たぶん25本)。布の下端と地面は1.5mほどの空間が空けられ、ベビーカーを押して、布の下を悠々と通り抜けていく女性の姿も。
南側全景。

未だ強い残暑の陽が差し込むと、色が鮮やかになり、地面に落ちる影も色濃くなる。

西側から、新宿駅方向の眺め。右に《東京都庁》、左に《ハイアットリージェンシー東京》、その奥に《新宿コクーンタワー》が見える。

時おり吹く強い風に垂れ布が舞い、ワイヤーにからまってしまう時も(この後、現われた展示スタッフが長い棒を使って直していた)。

前回同様、垂れ布はどこにでもある文房具ーダブルクリップによる2点留め・・・に見えるのだが、詳細は確認できず。

小さい子どもは垂れ布の下を走ったり、手を伸ばしてジャンプしたりと軽快な動きをみせる。オトナになった我が身の鈍重さをイタく感ずる。

作品の前後に日英2カ国語による案内看板も出ていたが、白い垂れ布の端2枚・2カ所に、作品名、作家名、修正された会期がプリントされていた。

「100 colors / Shinjuku Central Park」の展示期間は9月4日から11日まで。秋の長雨でカラフルな作品が傷まないことを祈る。

emmanuelle moureaux architecture + design
http://www.emmanuelle.jp



ムホーさんの作品以外にも、「新宿クリエイターズ・フェスタ2014」参加作品は屋外・屋内を含め多数、各ジャンルで多彩。
新宿クリエイターズ・フェスタ2014」公式サイトより、 ART MAPを拝借。A=アーティスト展、C=子どもアート、D=まち中アート、S=学生アートの配置を表す。


アーティスト展A-5>蟹江杏「ANZのアリス展」@ヒルトン東京BFヒルトピアアートスクエア

蟹江氏は伊勢丹新宿店本館5Fでも作品展を開催(会期8月20日〜9月2日)。

ヒルトンの同ギャラリーでは、同展A-6>今道しげみ「LIVING PHOTO」も開催中。
作品の傍らに併設されているスタンドに置かれた、蟹江杏氏の絵画作品「ひだまりを作る方法」が表紙になっているガイドブックが手元にあっても、効率よく回るには、建物のどこに在るのか、ビルの受付で最初に訊くのがてっとり早い。

アーティスト展A-2>河口洋一郎「螺旋の深海宇宙へ」@住友不動産新宿オークタワー

同氏は、サテライト会場の神楽坂毘沙門天善國寺にも作品を出展している。



+飲食のメモ。
アーティスト作品展示会場近くのエスニック店でランチタイム。
住友不動産新宿オークタワー2F「Hijau Bintang(ヒジョビンタン)」にて、ナシゴレンと鶏肉ココナッツラーメンのセット950円、おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

同店は「マハラジャ」系列のタイ料理店。



アーティスト展A-4>椿昇「Daisy Bell」@住友不動産新宿オークタワー

椿氏は昨年の「マーマリアン(哺乳類)」に続き、同じ会場での作品展示。


アーティスト展A12>ソメヤケンジ「Contemporary」@住友不動産西新宿ビル1F

同ビルのロビーフロアに置かれた、同作家によるポスト型アート。投函した絵手紙は被災地の子供たちに送られる。

アーティスト展A-3>北川フラム監修「都市のユーモア」展より、澁木智宏「freely 自由気ままに」@新宿野村ビル


アーティスト展A-3>北川フラム監修「都市のユーモア」展より、高梨裕理「深い水 III」@新宿アイランド。
栗の木が素材の彫刻作品。



アーティスト展A-3>北川フラム監修「都市のユーモア」展より、大川友希「KOUJYOU 江戸城」@新宿三井ビル

ガラスウォール越しに、現代の城・都庁がみえる。
アーティスト展A-3>北川フラム監修「都市のユーモア」展より、石坂祐子「ZOO」@新宿住友ビル広場

アーティスト展A-1>草間彌生 特別展示@NSビル

アーティスト展A-3>北川フラム監修「都市のユーモア」展より、大石雪野「They are letting of the shapes 彼らは形を手放していく」@新宿モノリス

アーティスト展A-13>武谷大介「GOLD Coating / コートの金塊」@新宿ファーストウエスト

タイトル通り、集めた素材を金色に塗装したものだが、対象となっているのは都会から排出された廃棄物。作品全体にかけられた金色の「コート」の隙間から、中を覗くと・・・・・・?
ミニカーや、頭部だけとなったアンパンマン、山と積まれたキューピー人形・・・。
廃棄物で構築すれば、電灯下、扇風機がまわる一室が出来てしまう。

辿り着くのに迷ったのが、まち中アート部門に出展された映像作品。同じ館内・京王プラザホテルの3Fロビーギャラリーにて、タイアップイベントを8月30日まで開催しており、まぎらわしい。
不思議なオブジェが置かれた「プロザナード」の中間地点に、目指す作品は在ったのだが、その前に、コレ。
《京王プラザホテル》は1971年(昭和46年)の竣工、年代を感じさせる照明器具が、プロムナードの通路上に設置されていて、思わずパチリ。
まち中アートD5>「ProjectedScape - the horizon - 2014」@京王プラザホテル プラザナード(1F通路)
企画・ディレクション:藤本直明、コーディネーター」野口靖(東京工芸大学)、松村誠一郎(東京工科大学)、出展作家:藤本直明、飯田将茂、kezzardix(神田竜)、学生共同作品、他
共催;東京工芸大学(参考リンク:同大芸術学部インタラクティブメディア学科News06
協力:東京工科大学
全長27mのスクリーンの中央付近に設置されたセンサーの前で、投影された「ボール」に「触れる」ことが出来る。手や足といった人体だけでなく、傘などの持ち物にも反応する。通路を行き交う人の姿も、遅れること数秒で投影される。面白い。

アーティスト展A-9>山下裕之「夜光都市 - 構造物の領域 - 」@エステック情報ビル2F クリスタルスポット
撮影後に画像加工ソフトで加工しているのかと想像し、会場につめていた山下氏に確認したところ、デジカメに標準装備された「補色フィルター」という、今まで触ったこともない機能を使って撮影しているだけとわかり、びっくり。持っていたカメラでもいろいろと教えて貰う。今回出展された作品は、氏のfacebookで公開されている「本日の一枚(Picture of the Day)」のシリーズから選ばれたものと思われる。

参考:山下裕之氏の公式サイト : http://hirophoto.jp


以下は「学生アート」の空間デザイン部門コンペティション への参加作品の一部(ART-MAP表記はS-1、屋内展示会場は新宿センタービル1Fロビー)。

テーマは「新宿コレクション」。同部門は8月28日にトラフ建築設計事務所の鈴野浩一氏ら5名の審査委員によって最優勝以下各賞が選出、翌日発表された。
東京理科大学「breating - 新宿の呼吸 -」(指導教官:坂牛卓)

中央部分から”呼吸”のエアが噴き出していて、敷き詰められた紙片(学生不在で何であるかは未確認)が宙を舞う。空間部門から2点選出された佳作受賞作品。

左奥:前橋工科大学大学院 石田敏明研究室「疑磁録」
手前、および下の画像:早稲田大学 古谷誠章研究室「トシノニワ」
石田研の「疑磁録」は、四隅だけを床に設置させたグリッド状の構造物の真ん中部分に、新宿区を模したと思われる、厚さ10cmほどのアクリルパネルを挿入しているのだが、中に敷き詰められているのは砂鉄で、上から吊り下ったキューブに磁石が仕込んであり、アクリル板の天板に磁力で付着させている。 3点選出された優秀賞を受賞。

手前:日本工学院八王子専門学校「ICE CUBE」
左奥:女子美術大学「新宿の森」
女子美の作品は、新宿という街を泡(バブル)を用いて表現。コンペ空間部門の最優秀賞を受賞。

エレベーター昇降路を挟んだ反対側のロビーにも展示あり。
多摩美術大学「都市のキャンパス」
JR新宿駅を挟んで、西の高層ビル群側、東側に建つビル看板を採集、主だって目立つ看板の文字と色を、ポリエチレンに油絵で使うキャンバス生地を貼り、再構築してドローイングした。 展示台にもキャンバスを貼っている。
ああ、この看板あるある、と思わせて、見ていて楽しい。雑多といわれる新宿の街の特徴がよく出ている。上の画像はひときわハデな色合いの歌舞伎町。

東京造形大学「villon(ヴィヨ~~~ン)」(指導教官:沖健次)

出展者が不在だったので正確なコンセプトはわからないが、四角い白い箱の中を覗くと、いびつな円形をした高架の交通インフラ、その真ん中に緑の山とアイランド型の空中都市 、それらを囲むようにカラフルな四角い箱が乱立していた。パンフレットの作品説明には、「イタロ・カルビーノの「見えない都市」を彷彿とさせる寓意が潜んでいる」とあるので、箱の中の都市的構造物の影を、白いスクリーンを透かして見る、という趣向か?

日本工業大学 小川研究室「新新宿」

20XX年、西新宿上空に新たな空中都市『新新宿』が建設されるーーというコンセプト。素材は段ボールで、下層の「古新宿」はレーザーでカッティングされ、上層に帯状に浮かぶ「新新宿」は、「古新宿」の地下をくり抜いた紙片を砕いて梳いたもので作られている。奇しくも新旧対照的な技術によって制作されている、という構図。2つの都市の間は、乱立する伝導管で繋がれ、エネルギーを循環させる。優秀賞のひとつ。

新宿駅を挟んだ反対側のモア4番街にも屋外展示作品数点あり。そのうちの1作品が同コンペの優秀賞を受賞している。

優秀賞「新宿、あるいは『誰か』のコレクション」(日本女子大学 宮晶子研究室)

会場となっているモア4番街は往来が激しい通りで、破損などを防止する為か、作品の四方に囲いが設けられているのは、見る側としては残念。

「新宿標本」(神戸大学大学 槻橋研究室)

新宿クリエイターズ・フェスタは9月7日まで。但し、一部作品で会期延長あり(「100 colors / Shinjuku Central Park」は11日まで、まち中アートに出展している2作品など)。詳細は公式サイトを参照。

新宿クリエイターズ・フェスタ
http://www.scf-web.net





+飲食メモ2。
新宿小田急百貨店本館5Fにある「和カフェ nanaha(ナナハ)」でかき氷をいただく。
あんこがたっぷりのっかった「抹茶あずきかき氷」900円に、日本茶(多数から選べて、お湯もおかわり可)のセット350円ナリ。
百貨店館内なので冷房が強く、攻めてる(食べてる)途中で身体がキンキンに冷えてくるのが玉にキズ。でも、おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

小田急百貨店飲食店案内
http://www.odakyu-dept.co.jp/shinjuku/restaurant/nanaha/

運営はnana's green tea(ナナズグリーンティ)
http://www.nanaha.com