「しあわせ廻廊 なら瑠璃絵」@奈良

2月8日〜14日の会期で開催されたライトアップイベント「しあわせ廻廊 なら瑠璃絵(るりえ)」を見に行く。
同イベントは奈良公園を中心に展開され、今年で開催5回目。前回(2013年2月)の来場者は37万1千人(主催者発表)。


今回のエリアは奈良県新公会堂東大寺興福寺奈良国立博物館春日大社の5カ所。新公会堂「七冬ロード」(上記画像)など特別展示を除き入場無料。会期中は講演会など各種イベントも開催され、また興福寺国宝館や奈良国立博物館は開館時間を延長するなど、見所は盛りだくさん。 点灯時間は18時から21時だが、オープンしている時間は各会場で異なるので、事前に要チェック(例:東大寺など)。

以下3点の画像は、新公会堂会場の無料エリア。広い庭園をLEDが埋め尽くし、壮観。
月曜と祝日の夜に見てまわったが、混雑で身動きとれず、などということもなく、各会場ともゆったりと見学できた。




今回は早めに腹ごしらえ。
初日は路面が凍結して春日大社本殿の夜間特別拝観が中止になるなど、非常に厳しい寒さのなか、奈良県新公会堂前に出ていた屋台村「バレンタインマーケット」は、腹からほっこりあったまれる。月曜の晩は十津川温泉から「出張足湯」もきていた。

奈良を代表する食べ物「柿の葉寿司」の老舗「平宗」の屋台。シャリコロというライスコロッケ(400円)など、地元奈良の和洋飲食店が多数出店している屋台村を一周すれば、夕食はほぼ足りる。 ごちそうさまでした。



新公会堂と春日大社会場を結ぶ道。足下をカラフルに、必要最小限に照らす。このイベントは「光」もだが、何より「暗闇」が大事。
参道の両脇に燈籠が並んでいても、日没後の春日大社境内は闇と静寂に包まれる。鼻を摘まれてもわからない暗さ。靴底で鹿のフンをどれだけ踏んづけていようが知った事ではない。だが、こんな暗闇は都市部ではなかなか体験できないので、逆にテンションが上がる。

やがて、春日参道の先に、明滅を繰り返す門らしきものが見え始める。

アートプロジェクション作品「閃光」。
春日大社の御祭神が武甕槌命(タケミカヅチノミコト)であることから、雷をイメージした作品らしい。


「閃光」を通り抜けて、春日参道をさらに進むと、アート集団:ミラーボーラーが手掛けた作品が頭上と路上に現われる。
参道脇の地面に設置されたボールと、頭上の木の枝にも吊るされたボールに反射した光が参道を幻想的に彩る。

上記2作品以外は、燈籠の光だけが春日参道を照らす。
さらに進み、荷之鳥居をくぐり、いよいよ春日大社の本殿エリアへ。

石燈籠は昼間見ると正直、なんてことはないのだが、火袋に蝋燭が灯されると、火口に貼られた和紙越しの光が美しく、風情が出る。
南門を抜けると、万燈籠が特別開催されていた(参拝料金500円)。この「春日万燈籠」は2月の節分と8月の中元の時しか見られない貴重なもの。
「春日大社」公式サイト〜年中行事
http://www.kasugataisha.or.jp/calendar/winter02.html


南回廊の端から入り、左折して、東回廊の緩やかな参道を上がり、中門・御廊で御本殿に参拝、西廊を下りて一周する。
金属製の釣燈籠はその数約1000基。夜間は全く区別がつかないが、年代ものと近年奉納されたものではデザインが異なる。
今回の「なら瑠璃絵」および昨今のライティングイベントはLEDが全盛だが、蝋燭の灯りによる「万燈籠」は格段に美しかった。

余談:
春日大社 では第60次式年造替を来年以降に控え、各社殿では修復が行なわれている。このうちのひとつ、「移殿」も現在移築中で、期間限定で修復現場を特別公開中(翌日に見学)。




参道を戻り、奈良公園内の《奈良国立博物館》へ。 「なら瑠璃絵」イベント期間中、通常17時閉館のところ20時半まで開館している。新館地下にあるカフェ「葉風泰夢(ハーフタイム)」も同様に時間を延長して営業。但し、注文できるのはカフェメニューのみ。結果は大満足。
ホットコーヒー(500円)とフレンチパンケーキ プレーン(900円)。

たっぷりのった生クリームに一瞬ひるんだが、甘くなく、好みの味。関西を中心に系列店をチェーン展開、JR大阪伊勢丹10Fにも1月から入ったようだが、東京でも食べられるようにならんものか。

たいへん美味しゅうございました。ごちそうさまでした。



《奈良国立博物館本館》の竣工は1894年(明治27年)、設計は片山東熊。
博物館公式サイトに拠れば、この堂々たる建築様式はフレンチルネサンス高揚期のもので、明治中期を代表的する洋風建築のひとつ。1969年(昭和44年)に「旧帝国奈良博物館本館」として重要文化財に指定されている。

奈良国立博物館サイト>なら仏像館
http://www.narahaku.go.jp/guide/02.html

4年前から「なら仏像館」として使われている。展示空間の変更にあわせて再考されたというライティングもあわせて、仏像コレクションが素晴らしい。奈良を訪れたら必見のコレクションと思う。

同館サイト〜なら仏像館の照明をめぐって
http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2011mei/2010mei_72_honkan.html


《奈良国立博物館新館》は外観上の見た目は東西に長いひとつ屋根だが、西新館と東新館に名称が分かれている。設計は共に吉村順三、1972年(昭和47年)竣工。外観は正倉院をイメージしているとのこと。

参考リンク>京都国立博物館サイト>東新館・西新館
http://www.narahaku.go.jp/guide/03.html

西新館エントランス前も、今回の「なら瑠璃絵」会場のひとつ。

噴水の細かい霧に光を投射したアートプロジェクション「悠久」。
2月のこの時期、同館では東大寺二月堂のいわゆる「お水取り」に関する特別展を開催、法会に使用された法具や、数か月にわたって行なわれる儀礼や行を段階ごとに追った映像資料も公開している。

東大寺会場では、前回は檀戒院での夜間展示があったが、今年はなし(残念)。中門の柵越しに、正面の大仏殿(金堂)に鎮座まします大仏さんのご尊顔を、特別開扉された「観相窓」から拝せる。その下にある国宝「金銅八角燈籠」も特別に点灯されているのが確認できる。

撮影ポイントはこんな感じの混雑具合。

大仏殿と南大門の間の「鏡池」でもウォータープロジェクションあり。


仁王さん(金剛力士像)が守護する南大門のライトアップも。
団体客を案内していた観光ガイドさんが「仁王さんを見るなら、日中ではなく夜間」と力説していたが、仰る通り。昼間よりもダイナミックに見えて(汚れも目立たず)カッコイイ。
奈良公園エリアでは、鹿は神様の使い。東大寺参道の両側に並ぶ屋台を覗く聖獣。

興福寺では期間中、国宝館と東金堂の夜間拝観あり。
興福寺敷地内では整備計画が進行中で、東金堂(画像左)の向かいには巨大な工事囲いがある。 同寺公式サイト内のテキストに拠れば、 1717年(享保2年)に火事で焼失した中金堂が、奈良時代(710年)創建当初の規模に再建すべく工事中。2012年に立柱式を終え、落慶は2018年(平成30年)の予定。

《奈良県庁》の前、国道沿いにたつ大きな木がLEDで装飾され、樹木全体を使ったイルミネーションのほか、太い幹にムービーが投影されていたらしいが、見逃す。
参考:カラーキネティクス・ジャパン(株)>事例紹介(動画あり)

http://www.colorkinetics.co.jp/case/cat90/nararurie.php

しあわせ廻廊 なら瑠璃絵」の会場は広い。関連イベントも各種盛りだくさんで、トークイベントなどを含めると、2日ぽっちではとても足りない。

「しあわせ廻廊 なら瑠璃絵」公式サイト
http://rurie.jp





飲食メモ2。
夕食は柿の葉寿司。奈良にきたら絶対に買う「平宗」の柿の葉寿司。ン十年前に、吉野の参道の本店で買って、帰路の伊丹空港で搭乗手続き前に初めて「柿の葉寿司」を食べ、五臓六腑においしさが染み渡った。

JRおよび近鉄奈良駅、三条商店街はじめ奈良公園エリアには売店が点在(MAP)。画は今御門町の奈良店で買った2種類入ったお得サイズ(760円)、+コンビニ味噌汁。

これでもう、充分に幸せ。
おいしゅうございました。ごちそうさまでした。

首都圏で百貨店催事以外の時でも買えるようにならんだろか。

「平宗」
http://www.kakinoha.co.jp